登山において「マグカップ」はただの飲み物用の器ではありません。コーヒーを淹れたり、スープを沸かしたり、ちょっとした湯煎に使ったり——言わば、小さなクッカーとしても活躍する重要なギアです。

その中でもエバニューの「Ti FH Mug 300(ECA541)」は、いわゆる“現場主義”を徹底して再設計された一品。
長年チタン製クッカーを作り続けてきたエバニューだからこそ辿り着いた、使う人の気持ちに寄り添った仕上がりになっています。
EVERNEWってどんなブランド?
とは?.jpg)
EVERNEW(エバニュー)は、じつはもうすぐ創業100年を迎える日本の老舗アウトドアブランド。元々は体育器具のメーカーとしてスタートしましたが、現在では登山用品やアウトドアギアの分野でも信頼の厚い存在です。
ブランド名の「EVERNEW」は、「いつも新しい何かを」という創業者の想いから生まれたもの。その言葉どおり、1970年代には業界初の「銀マット(テント用の断熱マット)」を発売するなど、時代を先取りするようなアイテムを次々と生み出してきました。
特に近年は、軽量・シンプル・高品質なチタン製クッカーやカトラリーが、UL(ウルトラライト)派のハイカーたちの間で大人気。派手さはないけれど、“現場でちゃんと使える道具”を丁寧に作る、そんな職人魂を感じさせてくれるブランドです。
EVERNEW Ti FH Mug 300(ECA541)のスペック
のスペック-1024x683.jpg)
項目 | 詳細 |
---|---|
サイズ | 外径約69mm × 高さ78mm |
容量 | 約300ml |
重量 | 約59g(シリコン付き) |
素材 | 純チタン(国内製造) |
ハンドル | 折りたたみ式、シリコンチューブ付き |
製造国 | 日本 |
価格 | 税込3,080円(2025年現在) |
使いやすさと軽さ、そして日本製ならではの丁寧な作りが光る、登山の相棒にぴったりのアイテムです。
火にかけても安心。直火対応チタンマグの完成形

Ti FH Mug 300は、シングルウォール構造のため火にかけられるのが大きなポイント。素材には国産の純チタンを使用。熱伝導率が低いため、湯を沸かしても持ち手が熱くなりにくく、火から下ろせばすぐに口をつけられるのが特徴です。
底面にはエンボス加工がないため、煤汚れや茶渋もスルッと落ちやすく、フィールドでの使用後のケアも簡単。ロゴはレーザー刻印で、変色しにくく美観も長く保てます。熾火の上でも気兼ねなく置けるのはうれしい設計ですね。
デザインは極めてミニマル、それでいて実用性は一級品

このマグの特筆すべきポイントは、“直火OK”でありながらも使い勝手の良さを犠牲にしていないところ。
チタンは熱伝導率が低いため、火から下ろして短時間で飲めるのがありがたい。口元を火傷しにくいというだけで、山での使用感が格段に変わります。

細部にまで気を配った日本製ならではの作りの良さも魅力です。
絶妙なサイズ感と使い勝手

容量は300mlと、コーヒーやスープを一人分入れるにはちょうど良いサイズ。高さ約78mm、直径約69mmで、手にすっとなじむフォルムです。バックパックに忍ばせても全く負担になりません。
取っ手は折りたたみ式で、使わないときはスリムに収納可能。シリコンチューブはあえて取り外し、より軽量かつシンプルなスタイルに。直火で使う際は少し注意が必要ですが、その分チタンの無骨な美しさが際立ちます。
スタッキング性も高く、他のチタン製クッカーやカップと組み合わせて収納しやすいのも嬉しいポイント。必要最小限で機能性を備える、まさにUL思考にぴったりの設計です。
チタン製ながら59g。ULハイカーにも刺さる軽さ

重量はわずか59g(※実測で多少前後する場合あり)。一般的なアルミマグよりも軽量で、なおかつタフ。容量はちょうど良い300mlで、コーヒーやインスタントスープを飲むには最適なサイズ感です。
持ち運ぶ時はアルコールストーブや風防、折りたたみスプーン、ライターなどの小物類をすっぽり収納可能。これひとつで「湯を沸かす」が完結します。僕の場合は基本カレーメシやお味噌汁などが中心なのでちょっとしたソロ山行にはもう、これがあれば十分。
こだわりは細部にも。レーザーロゴの採用

熾火の中に置いても変色しにくいよう、ロゴはレーザー刻印でさりげなくあしらわれています。ブランドの主張が強すぎず、それでいて「エバニューらしさ」を感じさせるデザインは、多くの登山者に支持される理由のひとつでしょう。
他モデルとの比較:400mlじゃなくて、あえて300mlを選ぶ理由
項目 | Ti FH Mug 300 | Ti FH Mug 400 |
---|---|---|
容量 | 約300ml | 約400ml |
サイズ(外寸) | 約Φ69 × 高さ78mm | 約Φ79 × 高さ84mm |
重量 | 約59g(シリコン付き) | 約67g(シリコン付き) |
素材 | 純チタン(国内製造) | 純チタン(国内製造) |
ハンドル | 折りたたみ式・シリコンチューブ付き | 折りたたみ式・シリコンチューブ付き |
特徴 | 軽量・コンパクトでUL向き | 少し余裕があり汎用性高め |
おすすめの用途 | ソロ山行・湯沸かし・ドリンク用 | インスタント調理・食事用にも◎ |
持ち運びやすさ | ◎(省スペース) | ○(ややかさばるが許容範囲) |
洗いやすさ | ◎(底面フラットでメンテしやすい) | ◎(同様に洗いやすい) |
価格(税込) | 約3,080円(2025年現在) | 約3,190 円円(2025年現在) |
EVERNEWのチタンマグには400mlタイプ(Ti FH Mug 400)もラインナップされていますが、「軽量」「コンパクト」「無駄を削ぎ落とす」という観点で選ぶなら、断然300mlモデルに軍配が上がります。

容量は必要十分。たとえば、カレーメシやアルファ米のように230ml前後の湯を使う調理なら、300mlでちょうどいい塩梅。湯を沸かしてそのまま飲み物に使うのもよし、食器代わりに使ってもよし。使い勝手のいい「ちょうど良さ」が、このサイズには詰まっています。
ソロハイカーやUL(ウルトラライト)志向の登山者にとっては、重さ・収納性・実用性のバランスが絶妙。シンプルだからこそ、ギアとしての完成度が際立ちます。
EVERNEWのTi FH Mug 300は軽量・実用・美しさの三拍子が揃った“現場主義”マグ

EVERNEWのTi FH Mug 300は、「軽い」だけのマグカップではありません。無駄のないデザイン、現場での使いやすさ、そして持ち物としての美しさ——そのすべてが絶妙なバランスで成り立っています。
熱伝導の低いチタンだから、火にかけたあとすぐに飲める。底部にエンボス加工がないから、煤がついてもサッと洗える。折りたたみ式のハンドルにシリコンチューブまでついていて、指先への気配りも忘れていない。この“細かすぎる配慮”こそが、現場を知るメーカーの矜持です。

そして何より、自宅でも違和感なく使えるミニマルな美しさは、アウトドアギアという枠を超えて、暮らしの中に自然と溶け込んでくれます。
「どうせ買うなら、使い捨てじゃなく“一生モノ”を」。
そんな価値観に寄り添ってくれるマグカップ、それがTi FH Mug 300なのです。