「登山に椅子って必要?」
ベテラン登山者の間でも意見が分かれるテーマです。軽量化を重視する人は「いらない派」、一方で快適さを求める人は「持っていく派」。
この記事では、登山で椅子を持っていくメリット・デメリットを実体験とともに詳しく解説し、どんな登山スタイルに向いているのかを掘り下げていきます。
登山で「椅子はいらない」と言われる理由
まずは「いらない派」の意見から見てみましょう。多くの登山者が椅子を持っていかない理由には、次のようなものがあります。
1. 荷物を減らして軽量化したい
登山では、1gでも軽くしたいというのが本音。特に縦走やテント泊などでは、椅子よりも食料や防寒着、バッテリーを優先する人が多いです。
軽量タイプの折りたたみ椅子でも300〜500gほどあるため、UL(ウルトラライト)ハイカーにとっては持ち歩くには微妙な重さ。
「岩に座ればいい」「ザックをクッション代わりにすれば十分」
― そんな声もよく聞きます。
2. 山の中には座る場所がたくさんある
岩、倒木、草の上、登山道の脇の段差など、実は自然のベンチが意外と多いです。
標高の高い山では岩場が多く、腰を下ろせる場所も見つかりやすいため、無理に椅子を持っていく必要がないという意見も納得。
3. 設営・収納が面倒
折りたたみ椅子は設営自体は簡単ですが、頻繁に出し入れするのが面倒です。
ちょっとした休憩のたびに取り出すのは手間がかかるので、「結局あまり使わなかった」という人も少なくありません。
椅子を「持っていく派」のメリット
一方で、「あった方が断然快適!」という人たちもいます。
ここでは、登山に椅子を持っていくことで得られるリアルな利点を紹介します。
1. 疲労回復・休憩の質が上がる
登山では、こまめな休憩が重要です。
地面に直接座ると湿っていたり冷たかったりして、リラックスしづらいもの。椅子があれば背筋を伸ばしてしっかり休め、体力の回復効率もアップします。
特に「脚を伸ばして座れる高さのある椅子」は、足のむくみ軽減にも効果的。
2. 景色をゆっくり楽しめる
山頂でコーヒーを淹れながら、椅子に腰かけて絶景を眺める時間――。
これはまさに登山の醍醐味のひとつ。椅子があるだけで、休憩が“時間を味わう瞬間”に変わります。
3. 地面が濡れていても快適
雨上がりや朝露のある場所では、地面が湿っていて直接座るのが不快です。
防水マットでも対応できますが、椅子ならお尻が濡れずに済み、清潔さも保てます。
4. 調理や撮影がしやすい
特に山ごはん派や写真撮影好きの登山者には椅子があると便利。
調理台(バーナーやテーブル)の高さに合わせて座れるため、作業姿勢が安定します。また、三脚を構える位置を調整しながら座って撮影できるのも快適ポイント。
登山スタイル別|椅子が必要なシーン・不要なシーン

登山で「椅子(チェア)」を持っていくかどうかは、スタイルによって意見が分かれるところです。
荷物を極力減らしたいUL派の人にとっては“不要アイテム”かもしれませんが、ゆったり山時間を楽しみたい人にとっては“必須アイテム”にもなり得ます。
そこで、登山スタイル別に「椅子があると便利なシーン」と「不要なシーン」をまとめてみました。
登山スタイル | 椅子があると便利度 | コメント |
---|---|---|
日帰り登山 | ★★★☆☆ | 景色を楽しむ休憩中心なら◎。軽量チェアがおすすめ。 |
テント泊登山 | ★★★★★ | 夜の食事・談話時に必須級。快適度が段違い。 |
縦走・長期登山 | ★☆☆☆☆ | 軽量化を最優先。マット座りで十分。 |
冬山登山 | ★★☆☆☆ | 地面が凍るため便利だが、椅子が凍結・破損するリスクも。 |
ピクニック・ハイキング | ★★★★★ | 快適重視のスタイルならぜひ持参したい。 |
登山の目的や装備の方針によって「椅子の優先度」は大きく変わります。
特に、テント泊やピクニック登山では快適さを大きく左右する重要アイテムですが、縦走登山では“持たない勇気”も大切。
あなたの登山スタイルに合わせて、“椅子を持つかどうか”を選んでみてください。
登山に向いている椅子の選び方

登山に持っていく椅子を選ぶときは、「どんな山行スタイルか」を意識するのがポイントです。日帰りで景色を眺めながらコーヒーを楽しみたいのか、テント泊で快適に過ごしたいのかで、求める性能が変わってきます。
軽量性・安定感・組み立てやすさ・収納サイズの4つをチェックしておくと、自分に合った椅子を選びやすくなります。以下では、登山に向いている椅子を選ぶときの基準を順番に紹介していきます。
1. 重さは「500g以下」が理想
登山用として持ち運ぶなら、軽さが正義。ヘリノックスやNaturehikeなど、軽量モデルであれば500g前後でもしっかりした座り心地を得られます。
2. コンパクトに収納できるか
ザックの外側に取り付けるか、内部に入れるかでサイズ感は変わります。
折りたたみ時のサイズがペットボトル程度なら邪魔になりません。
3. 安定性と座面の高さ
足場の悪い山では、重心が低めのタイプ(座面高20〜30cm)が安定します。
ただし腰痛持ちの方や調理をしたい方は、やや高め(35cm前後)のモデルを選ぶと快適です。
4. 素材は「アルミ×ナイロン」がベスト
フレームはアルミ製が軽くて丈夫。
座面はナイロンやポリエステルのリップストップ生地が破れにくく、防水性も高いです。
登山におすすめの軽量椅子ブランド例
登山用の軽量チェアは、ブランドによって特徴が大きく異なります。
「とにかく軽さ重視」なのか、「コスパ重視」なのか、「デザイン性も欲しい」のか…。自分のスタイルに合わせて選ぶと、山での休憩タイムがぐっと快適になります。
以下では、登山者に人気の軽量椅子ブランドをいくつかピックアップして紹介します。
ブランド | 特徴 |
---|---|
Helinox(ヘリノックス) | 軽量&高耐久。登山者の定番ブランド。 |
Naturehike(ネイチャーハイク) | コスパ抜群の軽量チェア。 |
DOD(ディーオーディー) | デザイン性が高く、キャンプにも使いやすい。 |
Moon Lence(ムーンレンス) | 収納性が高く初心者向き。 |
どのブランドも「軽さ」と「持ち運びやすさ」を意識した設計になっているので、日帰り登山やソロキャンプ用にひとつ持っておくととても便利です。
「椅子なし派」と「あり派」のリアルな声
登山者のあいだでも、「椅子を持っていくかどうか」はよく話題になります。
実際に山で見てみると、軽量化を重視して椅子を持たない人もいれば、快適さを求めて必ず持参する人も。
ここでは、それぞれのリアルな声を紹介します。
椅子なし派の意見
- 「荷物を減らしたいからマットで十分」
- 「短時間の休憩なら必要性を感じない」
- 「結局ザックに座ってることが多い」
椅子あり派の意見
- 「山頂でのコーヒータイムが最高」
- 「地面が濡れてても快適」
- 「食事や写真のときに姿勢がラク」
どちらが正解というわけではなく、登山の目的とスタイルによって最適解が変わります。
【結論】登山の目的次第で“椅子の必要度”は変わる
- スピード重視・軽量装備派 → 椅子はいらない
- ゆっくり楽しみたい・山ごはん派 → 椅子があると幸せ
つまり、あなたの登山スタイル次第。
休憩の快適さを求めるなら迷わず持っていくべきですが、ストイックなUL登山では置いていく勇気も必要です。
僕が登山で使っているのはヘリノックスのチェアゼロ【軽量&快適の両立がすごい】

登山を始めてからいろいろなギアを試してきましたが、「これだけはずっと手放せない」と思えるアイテムのひとつがHelinox(ヘリノックス)チェアゼロです。
軽くて、小さくて、それでいて“ちゃんと座れる”――このバランスの良さは、ほかのどの椅子にも代えがたい存在。
この記事では、僕が実際に登山やキャンプで使って感じたチェアゼロの魅力・使い心地・注意点を、リアルな目線で紹介します。
ヘリノックス チェアゼロとは?
まずはチェアゼロの基本情報から。
項目 | スペック |
---|---|
商品名 | Helinox Chair Zero(チェアゼロ) |
重量 | 約490g(実測で約505g) |
耐荷重 | 約120kg |
収納サイズ | 約10×10×35cm |
使用時サイズ | 約幅52×奥行き48×高さ64cm |
座面高 | 約28cm |
フレーム素材 | 超軽量アルミ(DAC製) |
座面素材 | リップストップナイロン |
カラー | ブラック、グレー、サンド、ブルーなど |
ヘリノックスといえば、軽量・高品質なアウトドアチェアで有名な韓国ブランド。
特にこの「チェアゼロ」は、同社史上最軽量のモデルとして人気を集めています。
チェアゼロを選んだ理由
僕が最初に登山用の椅子を探していたとき、条件は3つありました。
- 500g以下であること(軽量性)
- ちゃんと座り心地があること(快適性)
- ザックの中に収まること(携帯性)
この3つを全部満たしていたのが、チェアゼロでした。
他の軽量チェアもいくつか候補にしましたが、
- 組み立てが面倒だったり
- 座ると沈み込みすぎたり
- フレームが不安定だったり
と、どこかしら「妥協点」があったんです。
でもチェアゼロは、“軽さ”と“座り心地”をどちらも高いレベルで両立していて、まさに理想のバランスでした。
実際に使ってみた感想
1. 軽い。とにかく軽い。
最初に持ったときの第一印象は「え、これホントに椅子?」。
ペットボトル1本分くらいの重さで、ザックに入れてもまったく気になりません。
これなら日帰り登山にも余裕で持っていける軽さです。
僕はいつもサイドポケットやバックパック上部に差し込んでいますが、コンパクトなので邪魔にならない。
収納袋も細身で、パッキングの邪魔をしない点も◎。
2. 座り心地が意外としっかり
「軽い椅子=頼りない」と思われがちですが、チェアゼロは違います。
張りのあるナイロン生地が体をしっかり支えてくれるので、座っても沈みすぎません。
背もたれの角度も絶妙で、自然とリラックスできる姿勢になります。
特に山頂でコーヒーを飲む時間や、テント場でのんびり過ごす時間は最高です。
地面に直接座っていたころの「お尻が冷たい・痛い・湿る」といった悩みから完全に解放されました。
3. 組み立ては30秒以内
初めて使ったとき驚いたのが、組み立ての速さ。
ショックコード入りのフレームを“カチカチッ”とつなぐだけで、あっという間に骨組みが完成します。
座面を差し込めばもう完成。慣れれば30秒もかかりません。
撤収も同じく簡単で、撤収時のストレスがほぼゼロ。
軽量チェアの中では組み立て・収納のしやすさはトップクラスです。
4. 安定感は意外とあるが、地面は選ぶ
脚の先端は細めなので、柔らかい地面では沈み込みやすいです。
特に芝生や砂地では、体重をかけるとズボッと沈むことも。
そんなときは、小さな板や石を脚の下に敷くと安定します。
逆に、岩場や固い地面では非常に安定して快適。
軽さの割にフレームがしっかりしていて、ガタつきも感じません。
5. 寒い時期は座面が冷えることも
チェアゼロの座面はナイロン1枚なので、冬は冷気が伝わりやすいです。
寒い時期に使うときは、下にマットやシートを敷くと快適さがぐっと上がります。
夏場は通気性がよく、蒸れずに快適です。
チェアゼロが活躍するシーン
シーン | おすすめ度 | コメント |
---|---|---|
日帰り登山 | ★★★★★ | 山頂での休憩やコーヒータイムに最適。 |
テント泊 | ★★★★★ | 長時間座るシーンでも疲れにくい。 |
ソロキャンプ | ★★★★★ | コンパクトで狭い幕内にも置ける。 |
トレッキング | ★★★★☆ | 軽いので持ち歩きも苦にならない。 |
冬山登山 | ★★☆☆☆ | 座面が冷えるため工夫が必要。 |
僕の場合、日帰り登山でも必ず持っていくようになりました。「軽いから持っていこう」と思えるレベルの軽さで、休憩時間がぐっと快適になります。
チェアゼロの気になる点(デメリット)
もちろん、完璧ではありません。
使っていて感じたデメリットも正直に紹介します。
- 脚が沈みやすい(地面による)
- 風に弱い(軽いので飛ばされる)
- 座面が少し低い
特に風に飛ばされる問題は要注意。
トイレや調理で席を離れるときは、必ず石やザックで押さえておくのがおすすめです。
チェアゼロと他モデルの比較
モデル | 重量 | 収納サイズ | 座り心地 | コメント |
---|---|---|---|---|
チェアゼロ | 約490g | 10×10×35cm | ★★★★★ | 最軽量&快適。バランスが神。 |
グラウンドチェア | 約615g | 11×11×30cm | ★★★★☆ | 低重心で安定感◎。 |
チェアワン | 約960g | 12×10×35cm | ★★★★★ | やや重いが座り心地最高。 |
Naturehike 折りたたみチェア | 約550g | 11×10×32cm | ★★★☆☆ | コスパ重視ならアリ。 |
「軽さを最優先したいならチェアゼロ」「安定感を求めるならグラウンドチェア」が基本の選び方です。
長く使うためのコツ
- 収納時は砂や泥をよく落とす(ジョイント部に入りやすい)
- 座面の縫製部分を引っ張りすぎない
- フレームを無理にねじらない
僕はもう3年以上使っていますが、今のところ破損やたわみはなし。
軽量ギアの中では耐久性もかなり優秀だと感じています。
チェアゼロは「軽量登山の快適装備」
登山中、ちょっと腰を下ろして湯を沸かし、山頂を眺めながら飲むコーヒー。
その時間を快適にしてくれるのが、僕にとってのヘリノックス チェアゼロです。
「軽量化したいけど、快適さも諦めたくない」
そんなわがままを叶えてくれる、まさにUL登山の理想形チェア。
500gの贅沢、という言葉がぴったりです。
まとめ|「登山に椅子はいらない?」の答えは一つじゃない

椅子を持っていくことで得られるのは、単なる“座る快適さ”だけではありません。
それは、「山の時間を丁寧に味わう」ための道具でもあります。
歩くことを楽しみたい人は椅子を置いて。
山をゆっくり楽しみたい人は椅子を持って。
あなたの登山スタイルに合わせて、最適な選択をしてみてください。